【大阪の離婚弁護士が教える】婚姻を継続し難い重大な事由とは何か?~双方が離婚を求めている場合~

1.はじめに

民法で定められている離婚事由は全部で5つありますが、その中でも最もよく取り上げられるのが「婚姻を継続し難い重大な事由」というものです(民法770条1項5号)。

では、具体的にどのような場合に、婚姻を継続し難い重大な事由があるといえるのでしょうか。

ちなみに、離婚事由(離婚理由)がないと離婚できないと誤解しておられる方がいますが、協議離婚や調停離婚の場合には、当事者が離婚に合意してさえいれば離婚することができるため、明確な離婚事由があろうがなかろうが関係ありません。

ここで取り上げ原告ている離婚事由というのはあくまで裁判になった場合に、裁判官が離婚を認めるか否かの際の基準だと考えていただければと思います。

ここで取り上げ原告ている離婚事由というのはあくまで裁判になった場合に、裁判官が離婚を認めるか否かの際の基準だと考えていただければと思います。

今回は、離婚裁判において、双方が離婚を求めた場合に、婚姻を継続し難い重大な事由があると認められるかどうかという点を見ていきたいと思います。

 

2.裁判例の紹介

【東京地判平成16年12月27日】

本訴請求1、反訴請求1の、婚姻を継続しがたい重大な事由があることを理由とする離婚請求については、原被告は、現実に平成12年8月から同居をしておらず、それ以降現実に会ったのは数回程度にすぎないこと、原被告は、現段階では、双方とも相手方に離婚を求めていることに鑑みると、婚姻を継続しがたい重大な事由があるといえるから、いずれも理由がある。

 

【東京地判平成17年2月16日】

 原告も被告も本訴・反訴において婚姻関係破綻を理由に離婚を請求していること,後記認定の婚姻生活の経過及び別居期間が本件口頭弁論終結時までにすでに3年4か月を経過していること等に鑑みれば,婚姻関係がすでに破綻していることは明らかであるので,その破綻原因及びその責任の所在を検討するまでもなく,それぞれの離婚請求は理由があるものとしてこれを認容すべきである。

 

【東京家判平成23年1月19日】

 前記第1の1及び2の各(1)並びに第2の1及び2記載のとおり,原告と被告は,平成21年12月以降,本件別居を継続し,そのいずれも離婚を求めて訴訟を提起しているのであり,以上によれば,原告と被告との婚姻関係は破綻していて,その修復の可能性はないから,婚姻を継続し難い重大な事由があると認められる。

 

3.まとめ

ここでは3つの裁判例を取り上げましたが、いずれも「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして離婚が認められています。

これ以外にも双方が離婚を求めている事案は多数ありますが、双方が離婚を求めている場合には、基本的には離婚が認められる傾向があるといえます。

したがって、離婚事由があるか否かが大きな争点になるのは、一方が離婚を求め、他方が離婚を拒否している事案ということになります。

次回以降では、どのような事情があれば、婚姻を継続し難い重大な事由が認められるのかについて、引き続き見ていきたいと思います。

 

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