【大阪の離婚弁護士が教える】婚費・養育費の算定において、権利者が無職の場合に潜在的稼働能力を認める場合
婚姻費用や養育費は、双方の年収に基づいて算出するのが基本的な方法です。
では、権利者(婚費や養育費を請求する側)が無職の場合には、その人の収入は0円として算定することになるのでしょうか。
この点については、当事者に稼働能力がありながら就労していない場合には、賃金センサス等を用いて収入を推計する場合があります。
そこで、今回は、権利者(多くの場合は女性側)が無職であるにもかかわらず、収入があると擬制した裁判例を紹介したいと思います。
【東京家審平成15年10月6日】
申立人は、現在、東京都世田谷区〈以下省略〉にある申立人の実家に身を寄せ、母親、姉及び長女Aと4人で生活している。申立人は、相手方と婚姻する前にホテル関係の会社に勤務していたことがあるほか、その後も東京都b区役所でアルバイトをした経験があるが、現在は、稼働しておらず、主に姉の収入に頼って生活している。
(中略)
婚姻費用の分担のいわば原資となる収入については、申立人は現在稼働していないものの、稼働能力は十分あると認められるから、少なくとも賃金センサスによる同年齢のパート収入程度の年収(年間約128万円)が得られるものと推定する(以下略)。
※高裁(東京高決平成15年12月26日家月56巻6号149頁)もこの判断を維持しました。
これは、両当事者の間に子どもがいましたが、すでに成人しているという事案であり、このことも権利者(申立人)の収入を擬制するとの判断に影響を与えたと考えられます。
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