【大阪の離婚弁護士が教える】共同親権・条文解説②~原則は共同親権?それとも単独親権?~

前回の記事で、当事者間の協議で、共同親権にするのか単独親権にするのか、単独親権にするとしてどちらが親権者になるのかといった点について合意に至らないときは、裁判所に決めてもらうということを説明しました。

関係する改正民法の条文は次の通りです。

【改正民法819条】

1.父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その双方又は一方を親権者と定める。

(略)

5.第1項、第3項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。

では、裁判所が親権者を決めるに当たって、原則は共同親権、単独親権いずれなのでしょうか。

当事者間で協議ができないということであれば、共同親権は無理なのではとも考えられそうですが、いかがでしょうか。

この点について、政府参考人は次のように説明しています。

本改正案におきましては、離婚後の親権者の定めについて父母の協議が調わないときは、裁判所が子の利益の観点から、親権者を父母双方とするか、その一方のみとするかを判断することとしております。

離婚後の親権者を父母双方とするか、その一方とするかにつきましては、個別具体的な事情に即して子の利益の観点から最善な判断をすべきものでありまして、本改正案もこの考え、このような考えに沿ったものでございます。父母の協議が調わない理由には様々なものが考えられますので、合意がないことのみをもって父母双方を親権者とすることを一律に許さないというのは、かえって子の利益に反する結果となりかねません。

そこで、本改正案では、裁判所は、父母の協議が調わない理由等の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であるかなどの観点を含め、親子の関係、父母の関係その他一切の事情を考慮して実質的、総合的に判断すべきこととしております。

裁判所の調停手続におきましては、父母の葛藤を低下させ、子の利益に目を向けてもらうための取組も実施されていると承知をしておりまして、高葛藤であったり合意が調わない状態にあった父母でありましても、調停手続の過程で感情的な対立が解消され、親権の共同行使をすることができる関係を築くことができるようになるケースもあり得ると想定をされます。

そのため、父母の合意が調わないために裁判所における親権者指定の調停等の申立てがされた場合に、当初の段階から父母双方を親権者とする選択肢を一切除外するのではなく、子の利益の観点から最善の選択がされるよう当事者の合意形成に向けた運用をすることは望ましいと考えられまして、御指摘の法制審議会家族法制部会における委員の発言もこの点に言及されたものと理解をされております、理解をしております。

本改正案は、このような家族法制部会の議論も踏まえた上で、父母が子の利益のため互いに協力すべきことなどを明確化しているものと理解をしております。

(第213回国会参議院法務委員会会議録第10号)

例えば、裁判官が共同親権がいいのか単独親権がいいのか判断が付きかねるというようなところで判断に迷ったというようなところを考えますと、どのような定めをすべきか、このような、どのような定めをすべきか判断が付かないという場合に、共同親権を選択すべき、あるいは単独親権を選択すべきといったルールはありませんで、あくまでも子の利益の観点から最善の判断をすることが求められることとなると考えております。

(第213回国会参議院法務委員会会議録第10号)

ということで、裁判所が親権者を決めるに当たって、原則として共同親権とか、原則として単独親権といったルールはなく、諸般の事情を考慮して、子の利益の観点から最善の判断をすると説明されているわけです。

☆共同親権に関する疑問点まとめ

・今後離婚する人は全員共同親権になるのか?

・夫婦の協議で共同親権にするか、単独親権にするか決まらなかった場合はどうする?

・裁判所が共同親権にするか、単独親権にするかを判断する際にどういったことを考慮するか?

こちらの記事を参照ください。

・裁判所が共同親権にするか、単独親権にするかを判断する際、原則はどちらにするのか?

こちらの記事を参照ください。

・夫婦(父母)が別居している事案において、裁判所が共同親権と判断するのはどういった場合か?

こちらの記事を参照ください。

・共同親権とした場合、子どもはどちらの親と暮らすことになるのか?

・子どもと一緒に暮らす親にはどのような権限が与えられるのか?

こちらの記事を参照ください。

・共同親権であっても単独で親権を行使できるのはどのような場面か?

・共同で親権を行使しなければならない事項について意見が対立したときはどうするのか?

・共同親権と監護権の関係性とは?

こちらの記事を参照ください。

・現行制度と同様、親権者が決まるまで離婚することはできないのか?

こちらの記事を参照ください。

・すでに離婚している人は共同親権とすることができるのか?

・すでに離婚している人が共同親権となるのはどのような場合か?

こちらの記事を参照ください。

・共同親権とした場合、子どもの姓はどうやって決めるのか?

こちらの記事を参照ください。

☆弁護士法人千里みなみ法律事務所では、多数の離婚案件を取り扱っており、多くのノウハウや実績がございます。

離婚のご相談をご希望の場合はお問い合わせフォームよりご予約ください。