【大阪の離婚弁護士が教える】離婚事件の裁判管轄/調停と訴訟の違い

1.離婚調停の管轄

離婚調停を申し立てる場合、どこの裁判所に申立てをすればいいのでしょうか。

これに対する答えは、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所となります(家事事件手続法245条1項)。

例えば、妻が大阪市内に住んでいて、夫が東京(23区内)に住んでいる事案において、妻が離婚調停を申し立てる場合には、東京家庭裁判所に申立てをしないといけないということです。

あるいは、当事者が合意した裁判所に調停を申し立てるということも認められています(同条項)。

これを「合意管轄」といいます。

先の例で、例えば夫は頻繁に大阪に出張に来るので、大阪家裁で調停をしようという合意をすることや、両者の住む位置の間をとって名古屋家裁で調停をしようと合意をすることも認められているということです。

したがって、離婚調停の場合は、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に調停を申し立てる必要がありますが、当事者間で合意できる場合にはその他の家庭裁判所で調停をすることも可能になります。

なお、管轄が認められない場合でも例外的に「自庁処理」という対応がとられることもありますが、これをするか否かは申立てを受けた裁判所の判断となります。

 

2.離婚訴訟の管轄

離婚訴訟の場合は、離婚調停とは違って、原告又は被告の住所地を管轄する家庭裁判所が管轄裁判所となります(人事訴訟法4条1項)。

したがって、先の例であれば、妻は大阪家裁でも東京家裁でも離婚訴訟を提起することが可能です。

一方で、離婚訴訟においては合意管轄が認められていません。

そのため、いくら当事者間で合意したとしても、管轄権のない裁判所で訴訟をすることができることにはなりません。

ただし、離婚訴訟においても「自庁処理」があり、離婚調停が係属していた家裁で訴訟をすることが認められることがあります(人事訴訟法6条)。

これは、例えば、夫婦ともに大阪市内に住んでいたので、離婚調停は大阪家裁本庁で行ったが、離婚調停が不成立になった後に夫婦ともに他府県に引っ越したという場合に、大阪家裁本庁での離婚訴訟が認められるかという問題です。

この点に関しては、自庁処理は「特に必要があると認めるとき」に限り行われますので、いくら離婚調停が行われた裁判所であっても、離婚訴訟の管轄権がない裁判所で無条件に離婚訴訟が許されるわけではないことに注意が必要です。

「この点を誤解していると思われる代理人は少なくない」との指摘もありますので、注意したいところです(『人事訴訟の審理の実情』判例タイムズ社)。

 

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