【大阪の離婚弁護士が教える】試行的面会交流と交流場面観察の違い

家庭裁判所で「試行的面会交流」や「交流場面観察」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

これらの言葉には違いがあるのでしょうか。

交流場面観察は、親子の交流場面を設定し、それを観察することで親子の関係性や親の子に対する配慮姿勢を把握することを目的とした調査です(『家庭裁判所における監護者指定・保全の実務』85頁)。

試行的面会交流は、面会交流に不安を抱いている当事者の不安軽減を目的とした面会交流の導入であったり、長期間交流が途絶していた親子の交流再開に当たって時間や方法など具体的な在り方を考えていくための検討材料の収集などを調査の目的とするものです(同87頁)。

両者の共通性及び相違点については、「面会交流の試行の調査方法や手順は、交流場面観察と概ね同じであるが、もっぱら交流場面で生じる様々な事象や親子のやり取りの観察を目的としている交流場面観察と比べ、その目的は幅が広いといえる。もっとも、面会交流の試行と交流場面観察は、調査方法や手順においては大きな差異がないことから、実務では厳密に使い分けされていないこともある。」と説明されています(同87頁)。

また、家裁調査官の関与の仕方について、交流場面観察は家裁調査官が介入せずに観察に徹することが多くなるのに対し、試行的面会交流では今後の面会交流が円滑に行われるために調整的に活動する側面が強くなるものの、厳密な使い分けはされていないと指摘されています(同88頁)。