【大阪の離婚弁護士が教える】義務者(元夫)が死亡した場合、養育費はどうなる?

1.はじめに

離婚するに当たって、養育費について取り決めをする事案が多いと思います。

具体的には、月額いくらを、いつまで払うということを取り決めるのが一般的です。

しかし、支払いの終期までに養育費の支払義務者(多くの場合は男性)が死亡してしまった場合、どうなるのでしょうか。

以下では、過去の未払い分の養育費と義務者死亡後の将来分の養育費に分けて説明していくことにします。

 

2.過去の未払い分の養育費

例えば、養育費として、父親が毎月10万円を子どもが20歳になるまで支払うという取り決めをしていたとします。

しかし、子どもが10歳の時点で父親(元夫)が死亡してしまったとします。

しかも、死亡前1年間分は養育費の支払いが滞っていて、未払い分は120万円(10万円×12か月)にのぼっていました。

この場合、この未払い分の120万円の請求権(元夫からすれば120万円の債務)は元夫の相続の対象になります。

しかし、ここで注意が必要です。

元夫が再婚しておらず、子どもは養育費の対象になる子しかいない場合、元夫の相続人はその子のみになります。

その結果、養育費の請求権者と養育費の支払義務者が同じ人になり、混同(民法520条本文)によって、養育費の請求権は消滅することになります。

したがって、結果的に過去の未払い分の養育費があったとしても請求できないということになります。

一方で、上記の例で、元夫が再婚していた場合はどうでしょうか。

元夫の相続人は、再婚相手と子どもの2名になり、その相続分は各2分の1です。

したがって、120万円の未払いの養育費のうち、60万円は再婚相手が相続し、残る60万円は子どもが相続した結果、混同により消滅します。

その結果、60万円分については再婚相手に請求することができるということになります。

 

3.将来分の養育費

では、将来分の養育費はどうでしょうか。

先ほどの例でいうと、養育費の終期は子どもが20歳であるところ、子どもが10歳の時点で元夫が死亡していることから、残すところ10年分(1200万円)の養育費がどうなるのかという問題です。

この点については、結論から言うと、養育費の支払義務は相続の対象とはなりません。

これは、養育費の支払義務が一身専属的な義務であるためです。

したがって、たとえ元夫が再婚していたとしても、その再婚相手に対して将来分の養育費を請求することはできないということになります。

 

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