【大阪の離婚弁護士が教える】父親への親権者変更を認めた事例②
前回に引き続き、父親に親権者変更を認めた裁判例を紹介したいと思います。
【那覇家裁沖縄支部平成21年10月1日審判】
2 判断
(1) 前記認定事実のとおり,申立人と相手方夫婦は,平成20年×月×日に離婚するに当たり,未成年者らの親権者を相手方と定めているが,当該離婚は相手方が公的扶助を受けるための形式的なものであり,実質的な夫婦生活を解消することは当事者間で話し合われておらず,実際上も,離婚後,従前の共同生活に変動がなかったものである。これらの事実からすれば,上記親権者の指定は,当事者間において,その適格性の観点から協議された結果に基づくものではなく,また,離婚後の未成年者らの監護についても,実体的には,申立人と相手方が共同して行う状態が続いていたものということができる。そして,相手方は,平成20年×月×日,未成年者らを置いて,自宅を出た後,程なくして米国へ移住しており,同日以降は,専ら,申立人が,未成年者らの監護を担っていたことが認められる一方,その監護状況に特段の問題点は認められない。しかも,相手方は,申立人に対してそのような事情を告げることなく,突然,姿を消したものである。このように,同日以降の約9か月間の未成年者らの監護状況に照らせば,その福祉の観点からして,明らかに申立人の方に親権者としての適格性が備えられていたというべきである。なお,平成21年×月×日以降,未成年者らは,相手方に監護される状態に移っているが,同人による米国における監護状況には,なお不明な点が多いこと,従前の環境と大きく異なり,未成年者らにとって種々の負担がかかるとみられる外国へ同人らをいきなり連れて行っていること,その態様も,本件の係属中において,申立人の意思を無視する形で連れて行ったものであること等を考慮すると,現在の監護環境を未成年者らにとって好ましいものであると評価することは困難である。
(2) 以上からすると,未成年者らの福祉のため,未成年者らの親権者を相手方から申立人に変更するのが相当である。
この事例も、前回紹介した事例と同様、父と子がすでに一緒に暮らしていた事案において、父親への親権者変更が認められています。
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