【大阪の離婚弁護士が教える】婚姻を継続し難い重大な事由とは何か?~配偶者の浪費・借金~

配偶者に浪費や借金などの経済的な問題が見られる場合、婚姻を継続し難い重大な事由の一事情となるのでしょうか。

今回は、この点が問題となった裁判例を一つ紹介します。

 

【東京地裁判決平成15年7月4日】

 平成8年8月から平成9年1月にかけて、原告に無断で締結された、原告の名義のプロミス株式会社との間で極度額50万円(甲8)の、リッチ株式会社との間で極度額50万円(甲9)の、日立信販株式会社との間で申込限度額50万円(甲10)の、株式会社武富士との間で契約限度額50万円(甲11)の各金銭消費貸借契約がある。これらに基づく借入れについては原告が支払を行っている。
 また、被告及びCは、平成11年以降、消費者金融会社やいわゆる高利貸から金員を借り入れるようになった(甲12ないし17)が、これらの借入れの中には、原告の承諾を得ることなく、原告を保証人としたものがあった(甲13)。また、これらの借入れについて、原告の勤務先に債権者からの支払請求がたびたびくるようになったことなどから、これらの借入れに対しても、原告は、被告に代わって返済をしている(甲12)。(中略)
 以上のような経緯ないし婚姻生活の状況に照らせば、原告には明らかにされない理由による被告の度重なる多額の借金に基づく支払請求が原告の勤務先にまでくるようになり、原告としてもその返済を余儀なくされていたこと及び根拠のない不貞関係を理由とする被告からの苛烈な追及等のために日常的となった夫婦間の言い争いにより、原告が被告に対する嫌悪感、不信感を募らせ、さらに、平成11年初めから原告の承諾を得ることなく被告がその一存で本件建物に同居させ、以降本件建物において我が物顔に振る舞うCの存在もあいまって、平成12年1月ころには、原告が被告に対する愛情を失ったことは優に推認できるところである。このような原告の心情に加えて、前記認定のとおり、同月以降原告と被告とのいわゆる夫婦関係がなくなったこと、同月ころには連日原告と被告とがいさかいをしていたこと、1年間にわたって本件建物に原告とは何らの血縁関係がない成人男性たるCが同居していたために、原告は自宅の寝室内で段ボール箱をテーブル代わりにして食事をすることを余儀なくされるという異常ともいえる生活を強いられていたことなどの事情を総合的に考慮すれば、平成12年1月当時、原告と被告とは、同居し、同じ寝室で就寝し、また、原告は被告の作った夕食をとっていた(原告本人)とはいうものの、夫婦としての心理的な交流などは全く失われて形骸化し、その婚姻関係は完全に破綻しており、そのころには既に婚姻を継続し難い重大な事由が発生していたと認めることができる。

 

本裁判例においては、裁判所は、被告(妻)の度重なる借金を認定した上で、これを婚姻関係破綻の一事情としていることがわかります。

 

☆弁護士法人千里みなみ法律事務所では、多数の離婚案件を取り扱っており、多くのノウハウや実績がございます。

離婚のご相談をご希望の場合はお問い合わせフォームよりご予約ください。