【大阪の離婚弁護士が教える】同居と別居を繰り返している場合の財産分与の基準時
財産分与の対象となる財産の基準時は通常は別居時とします。
つまり、別居時点で存在する財産を対象として財産分与を行うということです。
では、別居と同居を繰り返しているような事案では、いつの時点を基準時とすべきでしょうか。
今回は、この点に関する裁判例を一つ紹介したいと思います。
【広島高裁岡山支部平成16年6月18日判決】
一審原告は、平成九年三月に一審被告と別居し、その後、一審被告がB山との不貞を認めて一審原告に謝罪したことから、一旦一審被告の下に戻ったものの、上記謝罪は夫婦関係を修復したいという真摯な意図によるものではなく、結局、同年一一月一三日ころから、本件別居に至ったものである上、同年三月の別居以降、一審被告が夫婦共同財産の管理に必要な通帳や印鑑等を独占し、めぼしい財産を処分、隠匿していることなどを考慮すると、財産分与額算定の基礎財産の範囲確定時は平成九年三月とするのが相当である。
この裁判例では、平成9年3月に別居を開始し、その後いったんは同居したものの、やはり11月13日頃から再度別居したという事案において、同居の意図や別居後の財産管理状況等を踏まえて、最初の別居時を財産分与の基準時としました。
ただし、この裁判例はあくまで事例判断に過ぎず、常に最初の別居時が財産分与の基準時になるわけではないという点に注意が必要です。
むしろ、実務書においては、この点に関して、「同居と別居が繰り返されることがあるが、通常は、最終的な別居時が基準となる(中略)。ただし、帰宅が一時的なものである場合は、その前の別居を基準とすることになる。一時的な帰宅かどうかは、帰宅した期間、その前の別居期間等を総合して判断することになる。」との解説がなされています(『離婚に伴う財産分与ー裁判官の視点にみる分与の実務ー』62頁)。
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