【大阪の離婚弁護士が教える】不倫相手宅を張り込む行為は違法になるか?
不倫の証拠を得るために、配偶者が不貞相手宅に入っていく様子などを撮影する目的で不貞相手宅を張り込むという行為がとられることがあります。
時として、マンションの共用部分に立ち入るような事案もありますが、このような場合でも適法な証拠収取行為といえるのでしょうか。
今回は、この点が問題となった裁判例を紹介します。
【東京地裁平成19年5月10日】
妻が、夫の不貞相手に対して慰謝料請求をしたという事案ですが、不貞相手は妻に対して次のように主張して反訴を提起しました。
ア 原告は,平成17年5月24日から6月2日にかけて,探偵社をして旧被告宅の周辺及び玄関部分等を監視させ,被告の動向,旧被告宅に出入りする者の有無等を調査させ,さらに,無断で写真を撮影させ,もって被告のプライバシー権を侵害し,被告に大きな精神的苦痛を与えた。原告は,探偵社と調査に関する契約を締結し,指示を行ったものとして,使用者責任を負う。
イ 原告は,同年12月22日,被告が住むマンションの敷地内に無断で侵入し,その住人,管理人ら不特定人の面前で,原告が法的な妻である,被告は働かずにAが面倒をみているので金がかかる,こんな高級マンションに住んでいるから金が無くなるなどと発言し,事実を摘示して騒ぎ立て,もって被告が平穏に居住する権利を侵害し,被告の名誉を毀損した。
ウ 原告は,Aとの離婚協議において自らが希望する条件での合意に至らないことから,被告に対し,本件の本訴を提起し,さらに,請求額を不当に拡張するなどして,被告に精神的苦痛を与えた。原告は,Aとの婚姻関係が破綻した後に,その原因が被告にあると主張して,被告に精神的苦痛を与えるために不当な提訴をしたものであって,明らかに故意がある。
では、裁判所の判断を見てみましょう。
4 争点(3)(原告の被告に対する不法行為の成否)について(反訴)
被告は,前記第2の2(3)(被告の主張)のとおり,(1)原告が探偵社をして旧被告宅の周辺の調査等を行わせたこと,(2)被告の居住するマンションを訪れて騒ぎ立てたこと,(3)本件訴訟を提起して請求を拡張したことが不法行為に当たると主張するが,前記事実関係に照らすと,以下のとおり,被告の主張はいずれも採用することができないと解される。
(1)旧被告宅が探偵社による調査の対象となったのは,原告がAの行動調査を依頼したところ,Aが深夜に旧被告宅に赴いたことによるものであり,また,探偵社による調査は,Aを尾行し,旧被告宅があるマンションの共用部分に立ち入り,旧被告宅の玄関を外側から写真撮影するなどの方法で行われている(甲15,50)。そうすると,原告が調査を依頼したことには相応の理由があったということができるし(この点に関し,被告は,原告が離婚に有利な証拠を獲得するために調査を依頼したと主張するが,前記認定のとおり,調査依頼の時点で原告が離婚を決意していたとはいえないから,原告に不当な目的があったと認めることはできない。),調査の方法も格別不相当なものとは認められない。これに加え,被告が旧被告宅に連日のようにAを招き入れるなど親密な関係になったことが原告に対する不法行為と評価されることを考慮すると,原告の上記行為に違法性があるということはできないと解するのが相当である。
(2)原告は,別居中の夫の住居を訪ね,インターフォンに応じてエントランスに現れたAの近くに寄っただけであって,原告の行為が住居侵入に当たると評価する余地はない。また,原告は,被告のいない場所で,Aと口論をしたものであり,これをもって被告の平穏な生活が害されたとみることもできない。さらに,原告が,周囲にいたマンションの管理人等に聞こえるような大声で,①原告が法的な妻である,②こんな高級マンションに住んでいるから金が無くなる旨の発言をした点についても,上記①の発言はそれ自体として被告の社会的評価を低下させるものとは認められないし,②の発言は,原告とAの間の金銭問題に関するものであって,被告とは無関係であると考えられる。
したがって,平成17年12月22日の原告の上記言動が被告に対する不法行為を構成することもないと解すべきである。
(3)訴え提起が不法行為に当たるのは,提訴者の主張が事実的及び法律的な原因を欠き,しかも,提訴者がそれを知り又は重大な過失により知らずにあえて訴えを提起したなど,裁判制度の趣旨目的に照らして著しく不相当な場合に限られる。また,訴訟係属中の請求の拡張についてもこれに準じて考えることができる。
本件においては,前記のとおり,被告の不法行為が成立し,原告の本訴請求が一部認容されるのであるから,上記の場合に当たらないことは明らかである。
(4)したがって,争点(4)について判断するまでもなく,被告の反訴請求は棄却されるべきである。
この裁判例では、不貞相手側の主張を排斥して、不貞相手による妻に対する損害賠償請求を認めませんでした。
反対に、妻の不貞相手に対する慰謝料請求については、120万円が認容されています。
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