【大阪の離婚弁護士が教える】夫が働かないことを理由に財産分与の割合に差を設けた事例
財産分与の割合は2分の1ずつとするのが大原則ですが、今回は、財産分与の割合を2分の1から修正した事例を紹介したいと思います。
原告が妻、被告が夫を指します。
【東京家裁平成23年4月26日判決】
2 争点(3)(財産分与)について
(1) 被告は,被告名義の本件土地建物を所有しているが,そのほかに,原告及び被告は,特段の財産を有していない。本件土地建物は,本件婚姻前の昭和60年2月5日に被告が購入したものであるが(甲2の1,2の2),その代金2450万円については,被告が,手付金及び中間金として事前に合計500万円を支払い,残額につき被告名義により三社から合計1950万円の融資を受けていたのであるから(甲6ないし9),これは原則として被告の特有財産に該当する。
もっとも,本件土地建物については,平成7年1月6日の本件婚姻以降,上記ローンの婚姻当時の残額合計1374万6311円につき,被告が就労していない間も,原告の貢献のもとに継続的に返済が行われ,また,平成12年12月12日に,原告の尽力によって,金利等の条件の有利なローンに借り換えが行われ,原告も連帯債務者となるとともに,その後,原告の多大な貢献によって返済が続けられてきたことなどからすると(甲7ないし9,10,14,15の1及び2),これが維持されてきた点については,原告の寄与が顕著であったと認められる。
そして,本件婚姻から平成18年12月の別居までの間に住宅ローンの残額が952万8947円(本件土地建物の購入代金の約4割)減少していること(甲7ないし9,11の2),原告の貢献が上記のとおり顕著なものであったことなどからすれば,本件土地建物のうち50パーセントについては,財産分与の対象とされるべきである。具体的には,本件土地建物の価値は1076万円であり(甲5),本件口頭弁論終結時の住宅ローン残額は149万9354円であるから(甲12),その差額926万0646円のうち,463万0323円については財産分与により清算が行われるべきである。
(2) そして,被告が必ずしも十分な就労意欲を有しない一方で,原告は,家事を行いつつ継続的に就労して家計を支えていたのであるから,上記財産分与対象財産の維持・形成に当たっての原告の寄与度は60パーセントとするのが相当である。
(3) したがって,被告は,原告に対し,本件離婚に伴う財産分与として,財産分与対象財産463万0323円の60パーセントに当たる277万8193円を支払う義務を負う。
このように、この裁判例では、妻が家事を行いつつ、就労した一方で、夫は十分に働かなかったという事案において、財産分与の割合を妻:夫=6:4としました。
ただし、財産分与の割合を修正することは稀であるという点には留意いただきたいと思います。
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